今朝の日経新聞朝刊を見れば、今の不動産売買市況がよくわかります。

三菱地所、最高益にも誤算

三菱地所決算三菱地所は7日、2017年3月期の連結純利益が前期比8%増の900億円と過去最高になる見通しを発表した。従来予想は860億円だった。ビルの売却益が増えるほか、オフィス賃料の引き上げも貢献する。年間配当を従来予想から2円積み増し18円(前期は16円)とした。絶好調の決算だが誤算も浮かび上がる。マンションとアウトレット事業の減速だ。

連結業績予想を上方修正する一方、ひっそりとマンションの販売戸数を4000戸から3800戸に下方修正した。「マンション販売は堅調で、戸数の下方修正は完成期のズレによるもの」。片山浩取締役は7日の決算会見でこう述べた。

だが、ある幹部は「1億円超の物件が売れなくなり、在庫も積み上がりつつある」と危機感を募らせる。9月末時点でマンションの完成在庫は264戸と、1年前に比べ95戸増えた。日銀の異次元緩和が始まる前の12年9月の283戸に近い。

株高による資産効果など、金融緩和の追い風を受けてきたマンション市場は明らかに曲がり角を迎えているマンションは完成の1年前後前に売買契約を結び、引き渡した時点で売り上げを決算に反映する。足元の減速は損益計算書にはすぐに表れず、来期以降に響く

もう一つの誤算は全国9カ所で運営する「プレミアム・アウトレット」だ。今期はテナントの販売減に伴い、売り上げに連動する収入がわずかながら減少する。経費削減で営業利益は3%増を確保するが、7〜9月でみると利益は前年同期比でほぼ横ばい圏だ。

インバウンド減速の影響が出てきた」(田島穣・執行役常務)。富士山が望める御殿場プレミアム・アウトレット(静岡県御殿場市)などは中国人観光客らの「爆買い」の舞台だった。それだけに中国政府の関税引き上げや円高の影響を避けられないようだ。

マンションとアウトレット事業の2部門の営業利益は連結営業利益の4分の1を占める。丸の内のオフィス賃貸で安定した利益を稼ぐイメージのある菱地所で、景気に左右されない事業が存在感を増している。「今期は市場を裏切らない業績なのだが…」。ある役員は来期以降の業績について言葉を濁した。

(2016年11月8日日本経済新聞朝刊15面抜粋)

三菱地所分譲の新築マンションといえば「パークハウス」シリーズですよね。

ザ・パークハウスグラン千鳥ヶ淵

こちらの売れ行きが明らかに悪くなってきています。中国人を中心とする外国人が、一時期のように日本の不動産を「爆買い」することも期待できそうにありません。

隣の記事を見てみましょう。

東京建物、純利益16%増 ー今期、中国でマンション好調ー

東京建物決算

東京建物は7日、2016年12月期の連結純利益が前期比16%増の190億円になる見通しを発表した。従来予想は165億円だった。中国企業との合弁会社が揚州や青島で展開するマンション事業が好調で、持ち分法投資利益などが想定より25億円増える。

固定資産として保有する賃貸ビルや賃貸住宅を売却し、予定していなかった特別利益も計上する。売上高は前期並みの2600億円と、従来予想を据え置いた。

(2016年11月8日日本経済新聞朝刊15面抜粋)

現在、中国国内は不動産バブルを迎えています。深センなどは昨年の倍以上の価格になっているとか。短期間で上昇率が大きい方に投資マネーは向かいますよね?今の中国人が、今の日本の不動産に熱狂的に投資するということはなさそうです。

こちらは今年の9月24日の中国浙江省杭州の新築マンション販売開始時の映像です。一生に一度あるかどうかの買い物なんて思ってなさそうです。雪崩のように人が押し寄せています。これが今の中国の不動産バブルをあらわしていますよね。

新築マンションの売れ行きは悪い、中国人は日本の不動産を買ってくれない、こうなると不動産価格は下がりそうですよね。でも下がらないんです。

三菱商事、不動産ファンド最大370億円 ーマイナス金利の受け皿にー

三菱商事不動産ファンド

三菱商事が不動産ファンドを相次いで組成する。運用規模は最大370億円で、都心部の商業施設やホテルに投資する。米欧アジアの不動産で運用するファンドも2017年以降に立ち上げる計画だ。マイナス金利で運用難が強まるなか、機関投資家マネーの受け皿となることを目指す

三菱商事の100%子会社、ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント(東京・千代田)が実際の業務を受け持つ。すでに企業年金や地方銀行、大学など約10の投資家が185億円を出資した。借入金も加えて、運用額は18年1月までに最大で370億まで増やす。今回が5例目で、運用規模は最大となる。

ファンドは非上場で、商業ビルや物流センター、ホテルの新規開発などを対象に融資と株式の中間的な性格の「メザニンローン」に投資する。年5%前後の利回りが見込める半面、通常の融資よりも返済順位が低く、国債への投資と比べるとリスクは高くなる。

(2016年11月8日日本経済新聞朝刊11面抜粋)

今の日本の銀行は融資する先がないため、お金が有り余っています。それで日銀は「お金を使わないなら金利を取るよ」っていうマイナス金利の政策を取っています。

銀行だって、今の不動産価格が高いことは百も承知ですが、利回りが低くても安定的に収益が見込めるということで、不動産にお金が流れてきているのです。そのため、地価は上昇しているのです。ファンドの投資先は、賃料が発生するオフィスや商業施設が中心なので、居住用のマンションを買うわけではありません

なので、居住用のマンションは売れないんだけど価格は下がらない、いや、下がりづらい状況が続いています。この状況はしばらく続くでしょう。「全く売れない!地価も下がる!」という見通しになれば、価格の引き下げ競争が始まりそうですが、この下がりそうで下がらない、売れないモヤモヤ感はしばらく続きそうです。

東京から始まった不動産上昇の波は、大阪にも到来しましたが、大阪の上昇も既に終わりました。今は地方中枢都市にマネーが向かっており、こちらも同じように上昇していますが、その内一服するでしょう。地方中枢都市には東京に比べて絶対的な需要数が少ないですから。

実需の不動産購入が少ない状況が続きそうな中、各不動産会社の持久力戦に入ってきています。この低金利の状況では倒産じづらいので、殴り合いの状況になりそうです。

とはいえ、人生のライフサイクル上、不動産を購入したい層、しなければいけない層は必ずいます。購入希望者が、少しでも安くて「お得」と感じた物件は売れる、そういう状況になりそうです。